my First boy last boy.
またひとつ、幸せが逃げてった。
あ、と。
そう言えば、花梨が中学時代使っていた自転車があったじゃないか。
それを借りればいいじゃないか!なんて名案なんだ。
………だけど。
問題は、家に取りに行くこと。
どうしても、
まだ、躊躇ってしまう。
きっと理由は、―――今まで帰らなかった理由とは、違う気がするから……。
それに、家に帰るのは………海斗と一緒の時がいい。
気付けば、冷たくなっている指先に、は~っと息をかける。
じゃり――――、
なんてことのない、些細な音。