my First boy last boy.
海斗の車はすぐに見つかった。高級車だし、やっぱりこんな街中じゃ目立つ。
そこへと、一歩ずつ、ゆっくりと。確かめるように歩いていく。
『後悔しない?』
なにを後悔することがあるんだろう。
「凪砂っ!」
弾けるような笑顔で、あたしの名前を呼んでくれる人。
彼の発するあたしの名前は、まるで宝石みたいに……凄く大切に、呼んでくれる。
そんな素敵すぎる人が、いるのに。何を後悔する必要がある?
「海斗!」
「うわっ!今日はずいぶん大胆じゃん?どうした?」
「んーん」
海斗にしがみついて、その胸に顔をすりよせる。
海斗の匂いだ………ふっ、と体の力が抜けていくのがわかる。
「凪砂。凪砂が珍しく大胆なのは嬉しいんだけど、明日は仕事遅刻出来ないからさ?」
しがみつくあたしをそっと優しく抱き締めてから頭を撫でると、ゆっくりと離される。
あたしは珍しく、いかにも寂しげな顔をしていたんだと思う。
「今日はキスで我慢して?」
なんてくすくす笑いながら言う海斗が、あたしの唇に触れる。
こんな、路上の真ん中で………。
そんな考えは、徐々に深くなっていくキスの途中で消えた。