my First boy last boy.








「そんなに一緒にいても、あるんですか?」




「当たり前じゃない。人間だもの」






意外だ、と思った。



2人は見るからに信頼しあっているのに。






「珍しいわねー、凪砂ちゃんがそんなこと聞いてくるなんて」



コーヒー豆をひきながら、ゆるく笑いかけてくる。





「彼と、何かあった?」


「いや…何かあった、わけじゃないんですけど………」





言い淀んで一旦言葉を切ってから、




「…………なんとなく、不安で」




なにかを吐き出すように、呟いた。












「…そう。それなら大丈夫ね」



「え…?」





「不安になることは、悪いことじゃないわ。それだけ、相手の大切さがちゃんとわかってるんだから。

それより、駄目なのは……不安に慣れてしまうこと。」



「不安に、慣れる…?」




それは、どういうことだろう。

よくわからなくて、たどたどしくなってしまった。





「そう。不安に慣れて、安心して甘えてばかりになったらいけない。“信頼”と“ただの甘え”は違うわ。


彼が隣に居ることは、けして当たり前のことじゃないの。

いついなくなるか、わからない。そのことを忘れては駄目よ」







< 457 / 469 >

この作品をシェア

pagetop