my First boy last boy.
「そんなに一緒にいても、あるんですか?」
「当たり前じゃない。人間だもの」
意外だ、と思った。
2人は見るからに信頼しあっているのに。
「珍しいわねー、凪砂ちゃんがそんなこと聞いてくるなんて」
コーヒー豆をひきながら、ゆるく笑いかけてくる。
「彼と、何かあった?」
「いや…何かあった、わけじゃないんですけど………」
言い淀んで一旦言葉を切ってから、
「…………なんとなく、不安で」
なにかを吐き出すように、呟いた。
「…そう。それなら大丈夫ね」
「え…?」
「不安になることは、悪いことじゃないわ。それだけ、相手の大切さがちゃんとわかってるんだから。
それより、駄目なのは……不安に慣れてしまうこと。」
「不安に、慣れる…?」
それは、どういうことだろう。
よくわからなくて、たどたどしくなってしまった。
「そう。不安に慣れて、安心して甘えてばかりになったらいけない。“信頼”と“ただの甘え”は違うわ。
彼が隣に居ることは、けして当たり前のことじゃないの。
いついなくなるか、わからない。そのことを忘れては駄目よ」