おかえりなさい(更新停止)
田舎・小学生
田舎の溝(どぶ)には変な生き物がいる。
それは虫とだけ呼ばれていて、名前のないおかしな物体。
僕は2年生の夏の自由研究に、その生き物の観察日記を書くことにした。
と言ってもその虫は…
…ただ黙ってこっちを見ている…
それだけ。
鳴かず、飛ばず、動かずに。
僅かに流れる水にもブレることなく、地面に根を張って浅瀬に漂う水苔をよそに微動だにしない。
身体の先端にある白と黒の丸い模様が目のようで、それは毎日そこに通う僕をじっと見つめている気がした。
だから日記にはいつも同じ事しか書けなかった。
変な虫です、何もせず僕を見ています。
それを不思議だと感じる人はいないのか、そんな溝に目をくれるのは僕くらいで…
…僕も黙って見つめ返す…
家の玄関を出てすぐの通りにある溝。
そこで目ん玉と僕は出会った。