紫黒の瞬き
「どうしてだろうね?」
うーん。と首を傾げながら笑顔でアサガは言う。
その様子を見て、私も同じ様に首を傾げた。

ジンは相変わらず表情は変えず、ただ酒の注がれたコップを口へ運んでいた。
アサガはジンに視線を一瞬移しそれをまた私へと戻す。
そして、
「ここに居れば良いよ。」
あっさりと言い切る。

「…えっ?」

「ここで生活すれば良い。」

「でも…。」

「行く所無いんでしょ?」

「………」

ここに居れば良い。そんな事を言われても、簡単に頷くことなんて出来ない。
返事を渋る私にアサガは、

「じゃあ、決定ね。ジンも居るし、寂しくないよ。」

半ば強引に話を進ませてしまった。









アサガの言葉にはっきりと返事をしないオルビナ。
でもそれは迷惑そうにではなく、戸惑っているのだと言うことが感じ取れる。

「………」

何度か口を開きかけるがすぐに発しようとした言葉を飲み込む様に、また口を閉ざす。






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