紫黒の瞬き
「オルビナ。今日は一緒に町へ行く?」

ここで暮らし始めて二ヶ月。いつもと同じ様に三人で朝食を食べている時、突然のアサガの提案に私は満面の笑みを浮かべる。
相変わらずアサガは手をベタベタにしながら果実を頬張っていた。

「一緒に行って良いの?」

ここから出るのに不安が無いわけではないが、私はまだここから森の外で出た事がなく、外の世界に少し興味があった。
ジンとアサガの様に私も町へ行ってみたかった。

「うん。一緒に買い物しよう。」

「三人で?」

私の問いかけに「そうだよ。」とアサガが答えてくれた。
初めての外出に逸る心を抑えられない。
ジンとアサガが外出の準備をしている間、私は部屋の中を落ち着きなくウロウロしていた。

私はお気に入りの柄の布を身に纏い、もう一枚同系色の布を手に持つ。
ジンとアサガの肩には麻袋が提げられていた。

「行くぞ。」

ジンが言い、私たちは森を抜けて行った。
森を抜けるを日差しも強く肌はジリジリとし、じんわりと汗ばみ始める。
私は手にしていた布を頭から被り、日除けに使った。





< 35 / 56 >

この作品をシェア

pagetop