紫黒の瞬き
三人並んでブラブラと歩く。
たまに露店の前で立ち止まると買い物をし、店の主人と話をする。
ジンとアサガはよくこの町に来ている為だろうか。知り合いも多いようで、いろんな所で声を掛けられた。

「ほら。これ、持って行きな。」

色とりどりの果物が並ぶ店の店主が放って投げた果物を、私は落とさないようにどうにか受け取る。

「ありがとうございます。」

私がペコリと頭を下げると「はら。アンタたちも。」そう言ってジンとアサガに果物を放る。
「ありがとう。おばちゃん。」
アサガは慣れた様子で言った。

おばちゃん。と呼ばれた店主は、私たち三人を順に見やり「ふ~ん。この子がね。」そう意味深な笑みを浮かべる。

「可愛いでしょ?」
にっこりと笑い私の肩に腕を回すアサガに私は驚いた。

「ジンが拾ったって言ってたの、この子だろ?」

「………」

ジンとアサガがこの店主にそんな事まで話していたのかと吃驚したが、二人は店主の言葉に狼狽することなくそれに答える。




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