紫黒の瞬き
目を凝らして進行方向を見る。
新月の為月明かりはなく、頼りになるのは星の瞬きだけだった。
いくら暗闇に目が慣れているとはいえ、人間の目は獣のそれほど見えるわけではない。
「あそこ、何か光らなかったか?」
独り言の様に呟き俺はそのまま早足にその場へ向かう。
自分の中で何か予感の様なものがあったのかもしれない。
獣ではない。他の何かがいる。
そういった予感が。
「おい。待てよ。」
アサガは慌てて俺を呼び止めるが、そんな事気にしている場合ではなかった。
さっきの光はもう無かったが、導かれるようにその光ったであろう所へ向かう。
獣がいる気配は無い。それどころか生き物の気配すら感じられない。
ただ感じるのは、血臭だけだった。
一際大きな岩の近くに辿り着くと、むわっと漂う血臭に一瞬ふらつく。
一気にその濃さを増した臭いに確信する。
臭いの元は直ぐそこだと。
そして難なく見つける事が出来た。
岩と同化するように、その岩の窪みに凭れかかっている小さな女。
「アサガ!!明かりを持って来い!」
俺が怒鳴る様に言うとアサガは「ちょっと待て。」そう言って小さな松明を掲げて近づいて来た。
新月の為月明かりはなく、頼りになるのは星の瞬きだけだった。
いくら暗闇に目が慣れているとはいえ、人間の目は獣のそれほど見えるわけではない。
「あそこ、何か光らなかったか?」
独り言の様に呟き俺はそのまま早足にその場へ向かう。
自分の中で何か予感の様なものがあったのかもしれない。
獣ではない。他の何かがいる。
そういった予感が。
「おい。待てよ。」
アサガは慌てて俺を呼び止めるが、そんな事気にしている場合ではなかった。
さっきの光はもう無かったが、導かれるようにその光ったであろう所へ向かう。
獣がいる気配は無い。それどころか生き物の気配すら感じられない。
ただ感じるのは、血臭だけだった。
一際大きな岩の近くに辿り着くと、むわっと漂う血臭に一瞬ふらつく。
一気にその濃さを増した臭いに確信する。
臭いの元は直ぐそこだと。
そして難なく見つける事が出来た。
岩と同化するように、その岩の窪みに凭れかかっている小さな女。
「アサガ!!明かりを持って来い!」
俺が怒鳴る様に言うとアサガは「ちょっと待て。」そう言って小さな松明を掲げて近づいて来た。