紫黒の瞬き
焼けるように熱い喉を置いてある水で潤す。

そして横になりそのまま目を閉じると、眠気が訪れるのを待つ。
するとすぐに眠気が訪れた。
男は熱があると言っていた。確かにその所為か身体は熱っているな。
目を閉じそんな事を考えていた。

あの男は追手ではないのだろうか…








あの新月の夜から三日三晩。
只管眠り続けていた女が目を覚ました。

顔色も良くなっている。
俺の髪とは違う茶色の長い髪が、ふわふわとしていて印象的だ。
細い身体のあちこちに傷を作り、痣もいたる所にあったが心配するほどの物ではない。
熱の所為なのか潤んだ瞳。それは初めて見た色だった。

噂には聞いたことがある。

着の身着のままといった感じの出で立ち。
川原で手首を切ったのは、その瞳の所為なのだろうと容易に想像できる。

「姫さんの具合はどうだ?」

「ああ、よくなってる。」






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