落ちていた遺書

2ﾂﾉ ｼﾞｼﾞﾂ

「一つは…


アタシね、






ﾆﾝｼﾝしてたの…」



ｻﾁは


消え入りそうな声で


つぶやいた。




「それって、ｵﾚの…」



ｼﾞｮｰが



不安げに尋ねる。



「そうよ。


ｼﾞｮｰとの間の子。


でもｼﾝﾊﾟｲしないで。


もう…。」




「ｻﾁ、


入院してたのって、


もしかして…」



ｱﾐｶが口をはさむ。



「そう…。ﾁｭｳｾﾞﾂしたの。

腹膜炎は嘘だったの。


だからお見舞いも断ったの。


ごめんね。」



「なんで、そんな！


どうしてｵﾚに


ｿｳﾀﾞﾝしないんだ？！」


ｼﾞｮｰが思わず


大声で言う。



「黙っててごめんなさい…。


だけど…。


ｱﾀｼもはじめは


産むつもりだったのよ。


産んで、この街を離れて


皆に迷惑かけないよう


一人で育てるつもりだっ
た。


だけど、どうしても


産めない理由があったの。


それは、もう一つのｼﾞｼﾞﾂ…。」





ｻﾁが


次の言葉を発するまでに


少し時間がかかった。