加納欄のお化け屋敷 シリーズ11
「お~い、欄~、無事かぁ」

第3者の声。

大山先輩の声が聞こえた。

懐中電灯の明かりがチラチラと見えた。

「あ~、ここです。ここ」

「何してんだ?」

そう言って、大山先輩は、あたしの顔を懐中電灯で、照らした。

「何って。犯人に襲われたんです。そこに転がってますよ。大山先輩こそ、何しに来たんですか?」

「何しにって・・・お前なぁ、助けがいもねぇな」

そう言って、大山先輩は、転がっている人物を、担ぎ上げ出口に向かった。

あたしも、続いた。

「お、おろせ」

人物が、目を覚ました。

「めちゃめちゃ腹腸煮えまくってるからなぁ。大人しくしてねぇと、とどめさすぞ」

大山先輩は、低音の声で、人物に言った。

外へ出て、人物を地面に落とした。

制服警官だった。

手には警棒が、握りしめられていた、それであたしをしとめることができないで、鏡を叩いたらしい。

「あ~痛い。まだ絶対髪の毛と、洋服の中に入ってる」

あたしは、制服警官を気にも止めないで、自分の心配をした。

「なんで欄を狙ったんだよ」

大山先輩が、制服警官の襟首をつかんだ。

「大山先輩、署で鮎川さんに任せましょうよ。私、洋服脱ぎたいです」

「いつから気付いてたんだ?」

あまりにもあたしが、何事もなかったかのようにしてるため、制服警官が聞いてきた。

「最初からよ」

あたしは、平然と答えた。

「最初から?!」

「気付いてないの?あなたは、暗闇にいた時の私の悲鳴が、外まで聞こえた。って言ってたけど、もし、それが本当だったら、入ってきた祥子先輩と、大山先輩も、私の声を聞いてるハズなのよ。それなのに、先輩達は、突然暗闇になったことに驚きながら入って来たけど、私の声に対しては一切気にしていなかったのよ。そんな2人を通り越して、入り口にいる、あなたに聞こえるわけがないのよ。私の声を聞いていたなら、私と同じ場所にいた時、そぅ、私が聞いた物音。あれがきっとあなただったのよ」

「あんなに、パニクってたのに!なんでだよ!さっきは!」

制服警官は、あたしを睨んだ。

「あぁ、勘違いしてるんじゃない?私が苦手なのは、幽霊。暗闇は、なんともないから」


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