キューティーエイリアン
キーンコーンカーンコーン〜
ギリギリ間に合った勇は
あの後
潰された自転車をなんとか引きずりながら、
学校へと猛ダッシュしたのだった。
そして
「なぁ圭介、俺を殴ってくれ!」
圭介は中学からの友達で、唯一勇を分かっている存在だ。
いきなり殴ってくれと言われた圭介は、
いつもとは違いクールさのかけらもない勇を見て驚いた。
「どうしたんだよ?なんかあったのか?」
「俺・・・女の子と自転車でぶつかった」
圭介はぶつかったショックでこんなにも取り乱しているのだと思った。
もし女の子に大怪我を負わせたのなら、
取り乱すのも当たり前だ。
「で、女の子は大丈夫だった?」
しばらくの沈黙がきたあと
「女の子は無事だった・・・なのに自転車がやられた」
力のない言葉だったが、圭介にははっきりと聞こえた。
「大丈夫だったならよかったじゃん。そうか自転車がやられたのか・・・」
圭介は
もう一度その言葉の意味を考え直した。
いやいやいや
有り得ない
女の子は平気で
自転車はやられた
おかしすぎるだろ!!
「勇、お前保健室行ってしばらく休んでこいよ。気が動転しすぎだ。」
笑いながら言った圭介に、
勇はひとこと言い放った。
「あいつは人間じゃない。あいつは宇宙人かロボットだ。」
そして呆れた圭介が
有無もいわさず勇を保健室へと連れて行った。
これが
勇と宇宙人の出会いだった。