やっぱり君が…
夕暮れ
夕方六時、あたしは今、家の外で待機中です。
部活で揃えた黄色のジャージを着て、音楽を聞いています。
同い年の男子が通ったときは、隠れたりしちゃってる…。
そんなことをしているあたしが、恥ずかしく思えた。
そう思ってるとき、前からたかひろらしき人が見えた。
たかひろは一歩下がって驚いた様子をあたしに見せた。
「あははっ!何やってるわけ?」
「あぁ、なーんだ。お前か」
そう言ってたかひろは、あたしに近づいた。
「へぇー…。お前ン家、ここだったのか。俺のいとこン家、あそこだぜ?」
そう言って井野さん家を指さした。
「そーなんだー」
「んで、これどうする?」
たかひろはあたしが落としたキーホルダーを、あたしに差し出した。
「ありが…」
「これ、もらってい?」
へ?
ちょ、待ってよ。それ届けるために来たんじゃないわけ?
「…まぁ、いーけど…」
「やった!んじゃ、少し話さねぇ?」
「ん」
そう言ってあたし達は、石の前に座り込んだ。