やっぱり君が…
そして、たかひろは口を開けた。
「稲瀬冬華さん」
ドクン…ドクン…
「俺、稲瀬冬華のことが…好きです」
えぇぇ!?
た、たかひろの好きな人って、あたしだったの!?
「……え?」
「ビックリ、しちゃった系で?」
「……」
「だよなー」とたかひろは呟いた。
「俺、言うか迷ったんだよな。告ったことも一度もねぇし、しかも、初恋だし…」
「うん…」
「でもな、言わなきゃスッキリしないって思って告った。別に、好きな人が居て断ってもいい。もちろん、俺は付き合ってもらうのが一番嬉しい。けど、お前を困らせたくないんだよ…。あ、断ってもいいけど、毎日逢うぞ?」
そう言ってたかひろは笑った。
「うん…」
「返事、今言わなくてもいいから。後で言っても構わない。まぁ俺は、OKを出してくれることを願ってるけどな」
その時、返事はあたしの心の中では出ていた。
もちろん、「OK」だ。
だけどあたしは、言い切れなかった。嬉しさと、恥ずかしさが込み上がってきて。
「ありがとお…。今度、紙に書いて渡すね…」
「おぅ。待ってる」