やっぱり君が…
「それは別」
「はいはい」
たかひろはモテるのに、自覚していない。あたしがモテるとか言って。あたしの方がモテないのにさ。
「俺、小学ん時からすぐイライラしてて、家に帰っても父ちゃんも母ちゃんも兄ちゃん達も仕事で、独りぼっちで寂しくてさ。だから他の奴に当たっちまうんだろうな。キレて家に帰ったこともあったし、事件も起こしたこともあった。そん時、ケイゴくんから卒業アルバム見せてもらって、一番可愛いと思ったのがお前だったんだ」
「うん…」
「それで駅伝の時、お前を初めてみて、これがあの人か~って思って。団マラん時にめっちゃ話してさ。あ~俺、こいつのこと好きだわ~って思って。そして告白して付き合って。学校も全然楽しくなかったのに、お前と出会えたことだけで楽しくなってさ。フミトやマサキからも、「冬華さん可愛いね」とか言われて嬉しくてさ。ほんと、お前のおかげ」
「…うん…」
その時のたかひろの声は、鼻声で、泣いているような声だった。
あたしもたかひろの話を聞いて、あたしってたかひろからこんな風に思われてるんだぁとか思っちゃって。
「家とか学校で、メチャクチャイライラしてる時とか、毎日お前と会えるだけでそのイライラがなくなったり、楽しくなったり。フミトからも、お前、冬華さんと喋ってるときの目といつもの目、まったく違うな、って言われたりしてさ。あー、そーなんだーって思って。お前は、ストレスを解消してくれてるんだよね。俺にとって」