OTOGI Rock'n'rool
 


「うーん、やっぱりか…」



王子様は頭の後ろを掻きながら口を尖らせた。



「だけど、胸に響いたっ
あなたの"歌が好きなんだ"ってキモチが!」



わたしの言葉を聞くと、尖っていた口が横に広がる。

キラキラの、笑顔。



「そっか!そっかそっか!!」



ギターをその場にそっと置くと、王子様はぴょんとステージから飛び下りて、わたしの所まで来た。



「んっ!」



そして、目の前に手を差し出す。



「握手!おまえ、おいらの第一ファンにしてやるぜよっ」



訳のわからない日本語を使う王子様は、理想とは少し違ったけれど…



「ありがとう、幸栄です。」



一生懸命な歌声も、

キラキラの笑顔も、

握った手の温かさも


いつも夢に見ていた物。


胸がキュンってなるような、甘い刺激。



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