OTOGI Rock'n'rool
 


急に大きな声を出す塁くんに、びっくりして目を見開く。



「なんつーか、ほら、野球も一緒だよ
途中であきらめたら勝てるもんも勝てなくなるし、ほんとにダメになんだ
よくさ、野球はツーアウト満塁からって言うだろ
ギリギリまで追い込まれてこそいいプレーができんだよ」



うんうんと腕を組ながら塁くんが熱弁する。

私がその姿を見てぽかんと口を開けていると、塁くんは我に返って一度咳ばらいをした。



「って、なんか話ズレてっけど…とにかく、詳しいことわかんないけどさ、頑張ったらうまくいくかもしれないこと簡単にあきらめようとすんなよ」



塁くん…


そっか、私

限界まで頑張ってなかったのかも


ほんとに大好きなら、もっと頑張れるよ

頑張って、だめだったら
もっともっと頑張ればいいんだ



「それにさ、白木が幸せだと、俺も嬉しーし」



塁くんはそう言ってにこっと笑った。



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