OTOGI Rock'n'rool
 


「けどさぁ、俺には当分無理かも」



頭をかきながら、塁くんが言う。



「だって俺、好きとかどんなんかわかんねーしっ」



好き…かぁ。

私も、真崎くんを好きになる前は全然わからなかった。

でも、たぶん…



「好き、っていうのは
1日中頭の中がその人のことばっかりで…楽しくても悲しくてもその人のことばっかりで
その人のこと考えるだけで幸せになれて
誰よりも幸せになって欲しいって願って
いつも自然とその人の姿探しちゃったりして
それで偶然会えたりしたら、それこそ運命じゃないかって思っちゃったり…」



きっと、好きってそういうこと

うまくは言えないけど



「あっ、なんかごめんいっぱいしゃべっちゃって…」

「…………」

「塁くん?」



黙って私を見ている塁くんに、首を傾げる。



< 129 / 166 >

この作品をシェア

pagetop