OTOGI Rock'n'rool
「けどさぁ、俺には当分無理かも」
頭をかきながら、塁くんが言う。
「だって俺、好きとかどんなんかわかんねーしっ」
好き…かぁ。
私も、真崎くんを好きになる前は全然わからなかった。
でも、たぶん…
「好き、っていうのは
1日中頭の中がその人のことばっかりで…楽しくても悲しくてもその人のことばっかりで
その人のこと考えるだけで幸せになれて
誰よりも幸せになって欲しいって願って
いつも自然とその人の姿探しちゃったりして
それで偶然会えたりしたら、それこそ運命じゃないかって思っちゃったり…」
きっと、好きってそういうこと
うまくは言えないけど
「あっ、なんかごめんいっぱいしゃべっちゃって…」
「…………」
「塁くん?」
黙って私を見ている塁くんに、首を傾げる。