OTOGI Rock'n'rool
「よかったね、かっち!」
私はかっちの肩をぽん、と叩いてピースをする
かっちもちゃんと、好きな人に渡せたんだね。
「…美優」
「ん?」
いい事があったばかりなのに、なぜかかっちは少し悲しそうに私の名前を呼んだ。
「チケット…うちからじゃない、美優からだって言った。」
「……え?」
それは本当に少しの表情の変化で、普段あまり感情を表に出さないかっちだから、余計に目立った。
「え、なんで!?」
なんで私からなんて?
意味がわからなくて、かっちの目を見ながら瞬きを繰り返す。
「うちからだったら、迷惑そうだったからだ
貰う理由がないって、断られそうだった。」
「そんなこと」
「そうなんだ」
ねぇ、かっち、私には意味がわからないよ?