OTOGI Rock'n'rool
 


その日の放課後、運が良いのか悪いのか、学校の前であの女を見かけた。

それはちょうど、あの女が塁に学校祭のチケットを渡している所で、俺は貰ってねーのにと少し複雑な気持ちになった。

でもその女、明らかに塁のこと好きなくせに、美優ちゃんからとか言って、無理矢理チケット渡してんの。

なんだお前、塁が美優ちゃんのこと気になってるって、知ってたんじゃん。

じゃあ、何で…



「おい」



塁がいなくなったのを確認して、女の背中に声をかける。



「…なんだお前か」

「あからさまに嫌な顔すんじゃねーよ」

「変だな、うちは思っていることが顔に出にくい体質らしいが、それが伝わってるということはよっぽど嫌だということなんだろうな」



会ってそうそう、むかつくこと言うなおい。



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