OTOGI Rock'n'rool
「おし、美優ちゃんの売り上げ貢献のため、入るぞ塁!」
「しょーやんただの好奇心じゃん」
咲也くんは無理矢理に塁くんの腕を引っ張って、中に入る。
「いらっしゃいませ…」
ボソッとメイドさん役の女の子が、二人を席に案内した。
「あ、あのさここって指名とかできる?」
「え?」
咲也くんに予定外の事を聞かれて女の子は一瞬素に戻ってから、また声を低くして言った。
「お客様の要望にはなるべく応えたいのですが…やっぱり…私なんかじゃ不服なんですね…私なんか…」
「え、や、しょーやんは、あっ、この人はさ、君が嫌とかじゃなくて知り合いに…」
「ばっか、これがココの普通なんだって」
塁くんの弁解を遮って、咲也くんは笑う。
「あのさ、俺すっげ地味専みたいでさ、君みたいなかわいー子には緊張しちゃうっつーか
だからミカって子、呼んでくんない?」
「かわいいなんて、そんなこと…っ
今すぐ、呼んできますね!!!!」
バイトでキャッチをするために使ううまい言葉を使って、見事目的の人物を呼び出すことに成功した咲也くんは、塁くんの肩に手を置いて耳元でそっと囁いた。