OTOGI Rock'n'rool
《番外編》
ある男からの告白
「かっちご指名だよー」
飲み物などの準備をするスペースを隠すための黒幕の裏で休憩していると、名前を呼ばれた。
「って、何つまみ食いしてんのさー!!」
「つまみ食いじゃない、試食だ」
「いいからはやく行くっ!」
…せっかく、人が焼きたてのシフォンケーキを食べてたというのに、うちは背中を押されて黒幕の外に出された。
だいたい、行くってどこに行けばいいんだ。
そう思い、だるそうにお腹をかきながら客席を見渡す。
あぁ、アソコか。
一人の男が座る席に近づく。
その男はクラスの女子と笑顔で楽しげに話をしていた。
そしてうちに気づくと、ニヤリとした笑顔に変える。
「ったくサボってんじゃねーよ、働け」
この男、明らかに他の異性に対する態度と、うちに対する態度が違う。
「サボっていたんじゃない、休憩してたんだ」
「一緒だろそれ」
男の正面にドカッと腰掛ける。