OTOGI Rock'n'rool
お宅訪問?
それからしばらく走り続けて…
やっと真崎くんが立ち止まって私の手を放した。
「つ…つかれたぁ……」
膝に手をついてハァハァと肩で息をする
こんなに走ったのは久しぶり
顔を上げると目の前には"OPEN"と書いた看板が飾ってある、可愛らしいレトロな感じのお店
「ここ…って?」
「おいらんちー!」
私が聞くと、真崎くんはにいっと笑って答えた。
「…あんたを養子にもらった覚えはないんだけど」
後ろを振り返ると、大量にビニール袋を持った綺麗なお姉さんが立っていた。
「第2の家っつー意味じゃんジャン」
「嬉しくねーよ、いっつも何も手伝いもしないくせにタダ食いしていきやがって」
「つーかクララ、何その荷物」
「聞く前に半分持つよとかねーのかよ、毎回毎回気がきかねーヤローだな」
クララと呼ばれた女の人は無理矢理真崎くんに荷物を押し付けると、スタスタとお店の中に入って行ってしまった。