OTOGI Rock'n'rool
かっちはしばらく黙っていたけど、ようやく口を開いた。
「………ボールを、拾ったんだ」
ボール…?
「たまたま朝早くに家を出て、あそこの学校の前を通った時。そしたら坊主頭の男が小走りでこっちに来て、ボール渡したら帽子取って、頭下げて笑ったんだ。」
「それが、塁くん?」
私が聞くと、かっちはコクリと頷いた。
「それからなぜか、その笑顔が離れなくて。毎日朝早くに家を出てみたら、必ずあの男がグラウンドに居た。いつも誰よりも早くに。」
かっちがあんなに朝早くに家を出てた理由が、他にもあったんだ…!
「どうやら気になってしまっていたらしい、あの男のことを」
やっぱり、かっちは塁くんのことが好きなんだ…!!!
「わかった、協力するっ!」
私はかっちの手を両手でギュッと握り締めた。
その恋、絶対実らせてあげるからね、かっち!