OTOGI Rock'n'rool
 


「でもバンドだって、アイツ言ってたよ?」

「アイツ馬鹿だから勝手に言ってんだよ」



ぎゃははと下品に男の人が笑う。

そしてわたしを見ると、諭すように言った。



「あ、もし見に行く気だったんならやめときな?アイツ超音痴だから」

「音痴でも頑張ってんだろー?」

「おまっ、それ慰めになってねーよ!!」



お腹を抱えて笑う男の人

そんなに音痴なら、逆に興味がわいてきた

1回くらい、聞いてみたいかも。



「頑張っている人間を、馬鹿にする権利は誰にも無い。」



真面目な顔をして、歯にたっぷりと青のりをつけたまま、かっちが言った。



「ぶはっ!ウケる!!」

「馬鹿っ、笑うとこじゃねーだろお前」



かっちを指さして笑う男の人を、坊主の人が慌てておさえる。



「ごめん、コイツ超失礼…ぶっ」



そう言う坊主の人も、さすがに見直してみるとおかしかったのか、言っている途中で吹き出す



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