OTOGI Rock'n'rool
《第3章》
言いかけた言葉
「ふわぁ…おはよ」
土曜日の朝
目を擦りながらリビングへ向かう
「おはよう、美優」
キッチンで朝ごはんの用意をしながら、お母さんが私ににっこりと笑いかけた。
リビングのテーブルの上には、赤くて丸い可愛らしい食べ物
私はそれを持ち上げて眺めた。
「あーそれ、青森の長岡さんとこから届いたのよー。
あっちのダンボールにいっぱい入ってるから、いっぱい食べてね。
お父さんは食べないし、美優しか食べる人いないんだから。」
そう言ってお母さんが顎で差した方には、大きなダンボール。
その中にはぎっしり、真っ赤なリンゴが詰まっていた。
あ…
"赤"だ。
「ねぇ、お母さん」
「んー?」
「私一人じゃきっと食べきれないから、お裾分けしてきていいかなぁ?」
真崎くん、リンゴも好きかなぁ?