OTOGI Rock'n'rool
「リンゴ…って、翔の好物じゃん」
袋の中身を見て、クララさんが言う。
「えっ、そうなんですか?」
真崎くん、リンゴ好きなんだ!
よかったぁ!!
「美優ちゃんは、翔のために持ってきてくれたんだもんね?」
マスターがにこっと笑って私に聞く。
「はい!あっ、でも、もちろんお二人にも食べてもらいたくて!」
「美優ちゃんってさぁ…」
ずいっ、とクララさんが私に顔を近付ける。
「まさかとは思うけど翔のこと好きなの?」
えっ……
突然、そんなことを聞かれて
私はかあっと顔を赤くした。
「そっ、あ、えっと…」
好き、と口にするのが恥ずかしくて下を向いていると
マスターの大きな手がぽんぽんと私の頭を撫でた。
「そうかそうか、俺は応援するよ」
「ちょっとあんた勝手なこと言わないでよ」
そしてその手をすぐにクララさんがはらう。