OTOGI Rock'n'rool
「ここだよ」
少しして、体育館に着いた。
坊主の人はゆっくりと扉を開けた。
少しずつ、中の様子が見えてくる。
真っ暗な中に、キラキラと輝くスポットライトは、ステージの上の一人を照らしていた。
「おう!塁っ!!!
ラッキーじゃんお前、特等席空いてんぞっ」
ステージの上の男の人はこちらに気付いてそう叫ぶと、自分の目の前の椅子を指差した。
「別にいーよここで…
あっ、前行く?」
坊主の人はわたしにたずねる。
「うん」
わたしは小さく頷くと、前から3番目の列の椅子に座った。
ドキドキと胸が高鳴る
どうしよう、思ってたよりカッコいい
「来てくれてありがとう!
特別においらの18番、聞かせてやるー!!」
"おいら"…?
ステージの上の男の人は、わたしに向かってそう言うとギターに手をかけた。
暗闇に目がなれて、周りを見渡すと…
観客がわたしたちだけ、ってことに気づく。
あれ…なんだろう
嫌な予感がする