OTOGI Rock'n'rool
 


「聞いて下さい
"俺とギターと愉快な仲間たち"」



ギターの音と、

キーンと言う音がする。


そして、男の人の歌い声が響く。



「あ、ダメだ俺…」



耳をおさえながら、坊主の男の人は体育館から出て行った。

構わず歌い続ける男の人

キラキラの彼の姿に目を奪われて、歌なんてとっくに聞こえていなかった。



「王子様…」



気付くと曲は終わっていて
男の人、改めわたしの王子様は、ふぅと腕で汗を拭った。



「どーだった!?おいらの歌!!!
実は最後まできーてくれたの、実はキミが初めてっ」



あぁ、普段の声はこんなに素敵なのに…

歌うとなんで、こうも変わってしまうんだろう。



「実は、開始10秒くらいから全く聞いてなかった…というか、聞けたもんじゃなかった」



わたしは素直に言葉をぶつけた。



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