まえがみ



「忘れたって…本気?佳乃って隣の人と話してるところ見たことないんだけど、話してるの?」


「話してないよ。ってか、話そうとも思わないかな…。」


「えぇ~、おかしいでしょ?研修旅行どうすんの?つまんないじゃん。」


「だよね~。でも、何であんなに班行動多いの?エリと一緒に行動したいのに。」


一気に鬱憤が爆発する。
最近、こんな感じ。


ちょっとしたきっかけでイライラを爆発させる。


日課と言って良いほど、それが普通になっていた。
どうしても、思ってることを口にできないあたしは、こうして何かの拍子でこぼしてしまうことが多い。


「でも、特定の人と行動するだけじゃなくて、色んな人と関われるようにしなくちゃ、中学やっていけないよー?」


…そんなの、わかってるけどさぁ…。


「大丈夫!佳乃なら余裕で仲良くできるよ!」


「そうかなあ?」


「うん!じゃあ、また明日ね。」



いつもの分かれ道。
手を振るエリに、手を振り替えして別れた。



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