まえがみ
教室を眺めると、心なしかみんなワクワクしている様子だった。
やっぱりみんな、楽しみなんだね…研修旅行。
「おはよ。」
あたしの方にぶつかった拍子にそう言ったのは、ハヤト。
ハヤトを睨みつけながら、挨拶を返す。
…矛盾してる?
「おはよう。でも…ぶつかってくるってのはないよ。」
そう言いながらハヤトと2人で席に着く。
「だって…邪魔なんだもん。」
さらっと人の苛つくことを言うのが得意のハヤト。
だけどどこかあたしなんかよりもずっと大人な雰囲気をしてて。
「そうそう、昨日さあ、俺…携帯小説読んでみたんだよね。」
…げ…。
ハヤトが…携帯小説??
思わず耳を疑った。
なんでハヤトなんかが携帯小説なんか読むの…??