空と海の絵かき歌

今日の放課後も相変わらず、学校全体が忙しなく動いていた。



スカートの下にジャージを重ねた女子の姿や、制服の裾を捲った男子があちこちに居る。



それぞれがそれぞれの役割の中で一生懸命動き、



そうして教室のあちらこちらで出たゴミを、いつの間にか拾ってくれてたりする人が各クラスに一人は居てたりする。



世の中って、上手く出来てるもんだ。




もちろん、ウチのクラスにもそんな役割を担ってくれてる人が居たらしく、




「ゴミ焼きなら晴天が行ってくれたよ」



思いがけない名前に自分の耳を疑いそうになった。



面倒くさがりの晴天が自らゴミを焼きに行くなんて……。



なんて思ったけど、なかなか戻らない晴天を呼びに行く道中で気付いたことがある。




ゴミ焼きって名目でサボってるんだ……、多分。




焼却炉の前に見えた人影は案の定、ぼーっと燃える炎の前に立ってるだけ。



「もぉ、晴……」



呆れ顔で近付いたわたしの目に飛び込んだ姿に、思わず駆け出していた。



晴天の手にあったスケッチブックが、炎に翳されたのだ。
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