空と海の絵かき歌
夜空と朝焼けの海
晴天に内緒でじぃじに会いに行った次の日。
晴天になかなか声が掛けられないまま、時間はあっという間に放課後になってしまっていた。
なんて声を掛けたら良いんだろ……。
昨日の夜からずっと考えてるけど、妙案は浮かんでくれない。
そんなことをぼんやりと考えていたら、刷毛を持つ手が止まってた。
女子たちはスカートの下に体操服のジャージを重ね履きし、男子たちは制服の裾を捲り上げ、刷毛とペンキを握ったまま右往左往してる。
晴天の描いた線に、少しずつ命が吹き込まれようとしていた。
「海汐~、晴天知らない?」
「えっ? 居ないの?」
赤いペンキ片手に声を掛けてきた彼女は、キョロキョロと辺りを見渡しながら首を傾げる。
そういえば、クラスメートの輪のなかに見慣れた姿が見当たらない。
「色合い見て貰いたいのになぁ~」
「わたし探して来るよっ」
よろしく~って手を振るクラスメートに断りを入れ、学校を飛び出した。
心当たりは一個だけ。