空と海の絵かき歌
「昔からじじぃと海汐が喜んでくれるって思って描いとったから、俺の絵」
不意に昨日じぃじが言ってた言葉を思い出した。
描かんのじゃない……描けんのじゃ
じぃじ。
晴天は答え、わかってたよ。
「じぃじが大好きなんだね」
答えはすごく簡単だった。
もちろんじぃじも、晴天が大好きなんだよ。
「じじぃだけじゃ無い、海汐も大好きじゃ」
「へっ?」
あまりにもサラッと言われた言葉がまるで告白みたいで、思わずポカンと口を開けて晴天を見上げる。
「だから、海汐も大好きじゃって言っとるやろっ」
パクッて甘噛みするみたいに鼻の先に触れ、
「言っとくけど、じじぃにはせんからな。これ」
「バ、バカッ!」
クククッと笑った後、真っ赤になったわたしを見つめる目が柔らかく細められた。
「学校、戻るか」
立ち上がった晴天が左手を差し出し、わたしの右手をしっかりと握りしめた。
手を繋ぎ、寄り添った影は、さっき晴天が砂浜に描いた二人に重なった。