空と海の絵かき歌

「おっ、小学生の落書きが落ちとる」



ひょいっと目の前に手が現れたかと思えば、



「あっ!」



スケッチブックを取り上げ、ニシシッと意地悪い声で笑った。



「もうっ。返してよ晴天」



ムッと口をへの字にしたわたしの眼鏡を人差し指の先っちょでズラし、



「ここはもっと丸みをつけて……」




眼鏡を直している隙に晴天は鉛筆を手に取り、サラサラっとデッサンに手を加え始める。




小学生の絵はみるみるうちに中学生まで格上げだ。



さすが晴天……なんて感心してる場合じゃない。



人の課題を勝手にいじっちゃダメだって……。
いくら同情したくなるくらい下手でも。



真後ろに居る晴天を振り返ろうとしたとき、



「全然進歩せんなぁ海汐(みしお)の絵は。……後ここも」


「っ!?」



いつの間にか鉛筆を置いた晴天の手は、わたしの胸元に伸びていて……。



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