空と海の絵かき歌
「バカッ!」
反射的に振り上げた手をスルリと交わし、
「悪かった。怒るなって」
ククッと悪戯っぽく笑った顔に反省の色なんて全く見られない。
「もぉっ。そんなことばっかりしてたら賞状取り下げられるよっ」
「別にええよ。絵は気に入っとるけど賞状はどうでもええし、俺」
だから家に持って帰りもせず、ここに貼ったままにしてるんだろうな。
自分が気に入った絵が描ければ賞状はどうでも良いなんて……晴天らしい。
「ねぇ、晴天」
「んっ?」
「今は何描いてるの?」
何の気なしにした問い掛けに、晴天は何故か口を噤んでわたしを見つめている。
どうしたんだろ……急に黙り込んじゃった。
思わず顔をのぞき込んだわたしに、
「ヌード」
「へっ? っ!?」
胸元を指さした晴天はまた、ニヤリと笑ってみせる。
ちょっとでも心配したわたしがバカだったよ……。
「晴天っ!!」
「はははっ。怒るなって。海汐のじゃ物足りなさそうやし」