空と海の絵かき歌

「バカッ!」



反射的に振り上げた手をスルリと交わし、



「悪かった。怒るなって」



ククッと悪戯っぽく笑った顔に反省の色なんて全く見られない。



「もぉっ。そんなことばっかりしてたら賞状取り下げられるよっ」




「別にええよ。絵は気に入っとるけど賞状はどうでもええし、俺」




だから家に持って帰りもせず、ここに貼ったままにしてるんだろうな。



自分が気に入った絵が描ければ賞状はどうでも良いなんて……晴天らしい。




「ねぇ、晴天」


「んっ?」


「今は何描いてるの?」



何の気なしにした問い掛けに、晴天は何故か口を噤んでわたしを見つめている。



どうしたんだろ……急に黙り込んじゃった。



思わず顔をのぞき込んだわたしに、



「ヌード」


「へっ? っ!?」



胸元を指さした晴天はまた、ニヤリと笑ってみせる。



ちょっとでも心配したわたしがバカだったよ……。



「晴天っ!!」



「はははっ。怒るなって。海汐のじゃ物足りなさそうやし」



< 6 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop