空と海の絵かき歌
「最近は大人しくしてたのに……」
そうボヤいた晴天ママがチラッと視線を斜めに上げる。
視線の先には、玄関の壁に掛けられた晴天じぃじの絵があった。
石川 晴豪は名のある画家だけど、晴天じぃじは晴天やわたしにとって、明るくて豪快な大好きなただのおじいちゃんだ。
でも、最近じぃじの元気な声が聞こえない。
少し前から体調を崩したじぃじは、今入院中。
「風邪も引いたことないんじゃ。どうせ鬼の霍乱やろ」
晴天はこう言って笑ってたけど、ちょっと心配だなぁ。
気がつけば晴天ママにつられて、わたしもじぃじの絵を見つめていた。
「じじぃは大丈夫じゃって、お見舞いにも行かないのよ。あの子」
大のおじいちゃんっ子の晴天なら毎日でも行ってそうなのに……。
「あの子の面倒くさがりはどうやったら治るのかしらねぇ~」
一つ言えば二つ三つと、晴天ママの愚痴は止まらなくなる。
こうなったら軽く一時間は付き合わされることもしばしば……。