機動装甲FINAL
既にこの機材に組み込まれて五日。

シェリンはその間飲まず食わずで、睡眠すら満足に取れていない。

衰弱は目に見えて酷かった。

だがそんな事は関係ない。

私はこの時の為に、この小娘を連れてこさせたのだ。

「歌え」

私は告げる。

「お前の仕事は歌う事だろう。戦場で歌うのがお前の役目…戦闘を止める事がお前の目的なのだろう」

「……」

疲弊し、息を乱しながらもシェリンは歌わない。

私の言葉を頑なに拒否する。

「ならば」

私は自動拳銃を、拘束されたままのシェリンのこめかみに押し当てた。

「『別の意味で』歌ってみるか?」

「……!」

この状況で気丈に反抗するのは大したもの。

しかし所詮は小娘に過ぎん。

抵抗など、儚いものだった。

< 14 / 57 >

この作品をシェア

pagetop