サクラ
忘れられた時間
私達二人は、小学校からの幼なじみだった。
小学校低学年の彼は、仮面ライダーの青を熱烈に愛している、少し変わった子供だった。
仲良くなったきっかけも、それに付随する。
私は手先が器用な方だったので、小学生ながらにリカちゃんの服を手作りしていたのだが。
ある日、何処かからそれを聞き付けた彼が、仮面ライダーの人形用の服を作れとか言ってきた。
勿論、軽くあしらったが、報酬は好きなプリンだと言ってきたので、断らずには居られなかった。
最初に作ったのは、青色のズボンと黒いTシャツだった。
彼はよほど感動したのか、私の手を掴んで何度も上下にぶんぶんと振りながらありがとうと繰り返してくれて。
大人は誉めてくれるだけだったので、喜ばれるという初めての経験にとても嬉しかったのを覚えている。
それからも、ちょくちょく依頼されるうちにすっかり仲の良くなった私達は、次第に家族ぐるみで遊ぶ事も増えていき。
お人形遊びに飽きても、近所の池でザリガニを捕ったりしてほぼ毎日一緒に居るようになっていた。
小学校高学年になると、クラスで話すと冷やかされる事が多かったので、ほぼ自宅で遊んでいた。
小学生にしては、真面目だったと思う。
宿題をしてから、流行っていたテトリスにお互い夢中になったりしていた。