サクラ
私は薬指に嵌めてみて、手を上に掲げて眺める。
──私はきっと、一生蒼井が大好きだ。
今日だけは、今日だけは。
蒼井のお嫁さんで居ちゃ駄目かな?
今日は、付き合って三年目の記念日だから。
今年もライトアップされている夜桜を眺めて微笑む。
貴方の時は止まってしまったけれど、私は生きている。
貴方が望むように、世界一幸せな女になって、きっとまた此所に来るからね。
倒れていた自転車を起こして、乗ってから前へと走らせていく。
もう迷わない。
もう振り返らない。
蒼井を心から愛しているから、未来をまっすぐ見るよ。