サクラ

今日は、小学校からの友人……長岡美咲と長編映画の第三作目を見にいく予定だった。

 美咲の学校では寄り道云々が厳しいらしく、私服での待ち合わせになっていた。
 間違っても、制服で来る事の無いように釘を刺された。

 自宅と映画館と学校は、自転車で10分圏内にある。
 私の心には、当然余裕が出来る。
 友達が手招きをして私を呼んだ時も、まあ数分なら良いだろうと。甘い気持ちだった。

 気付けば、黒板上にかけられた時計は待ち合わせ時間を指していた。

 最悪な事に、携帯は自宅に忘れてきていた。

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