恋い≒病い


あの日……

『あ…の、さぁ…。』

こんなにも不機嫌そうな顔をされちゃあ、話しかけにくい。

このまま「サヨナラ。」とここから立ち去りたいが、そういうわけにも行かず…。

見ず知らずの相手であれば、それも有りなのかもしれないが。
相手は同じ会社の人間。なんなら、部署まで同じときた。

私の呼びかけにはその目線だけで「なんだよ。」と返すコイツに、仕方なく私は続けた。

『無かった事に…。』



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