恋い≒病い
「この前の事なんだけど、何も覚えてないの?」

「は?」

「いや、あの…。どういった経緯でそうなったのか…。」

持っていた缶ビールをローテーブルに置き、「はぁ~」と大きな溜息を吐いた赤石駿平にビクリとする。

「な、何よ?」

赤石駿平はそう言った私に心底不機嫌そうな顔をし口を開く。

「覚えてたら何か変わるわけ?忘れようって言ったのは大村だろ?」

「でも…。」

そう言いかけて私は口を噤んだ。
赤石駿平は物凄く冷たい眼差しで私を見ていたから…。


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