恋い≒病い
「忘れてるのが嫌だったら、思い出せば良い。」

「えっ?」

突然の言葉に、私は理解出来ず首を傾げた。

「思い出せないなら、新しい記憶で埋め尽くせば良い。」

「ちょっ…。」

一層近づいた赤石駿平に吃驚する。
悩ましげに睫毛を伏せ、唇を潤わせているその姿は妙に色っぽい。
そんな艶かしい(なまめかしい)彼を、

「嫌なら……拒否、して。」

拒否する事なんて、出来るわけなかった。

赤石駿平はそう言うと少し顔を傾け、唇を合わせる。
その行動に、私の答えを待っているという様子は微塵も感じられなかった。




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