遥か遠く
1話
「あ?…アンタ、何」
彼はうつろな目で私を見てきた。
私は一瞬、彼の不気味な目に恐怖心を抱えていた。
足を組み直し、またもや偉そうにする。
「だから…雇ってください」
私はここのコンビニに働かせてもらうつもりで来たのであった。
彼が店長なのか?
そこらへんはいまいち良くわからない状況ではあったが、なんとなく店長のようなオーラを持っていた。
「雇ってだと?…アンタ何歳だよ」
「あ、19です。大学に行ってます。k大学です…」
「座れ」
彼のそっけない言葉に従い、私は傍にあったパイプ椅子に座った。
「どこの大学に行ってるとかそんなことは全く関係ねぇんだ」
「…はい…」
「おまえ19って言ってたよな?…自給は800円だ。明日からあれを着ろ。開店まえにはちゃんと来い」
彼は奥のハンガーにかけてあった服を取って来て、私に差し出した。
「胸ポケットに証明写真をちゃんと貼れ。わかったな?」
< 1 / 16 >

この作品をシェア

pagetop