遥か遠く
彼女はからかっている目で私を見てきた。
紺野流美さん(コンノルミ)
バイト先の2個上の先輩だ。
「いや、別に仲がいいってわけじゃ…」
本当は流美さんに言われて嬉しかったのだけれど、今は気持を表に出すことはできないのだ。
「あ、でもぉ~阪野っていつもあんな感じだからね!」
「え?」
「女好きなの。あいつ…。まいっちゃうよねー!顔はあーなのに、性格がねえ」
流美さんは耳のそばで髪を掻き分けた。そして周りを気にしながら小声で言った。
「どーせ男なんてそんなもんよ」
私は首を傾げ、レジに行き仕事を再開したのだった。
「あかり~」
弾んだ声と同時に店のドアが開いた。
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