ギャル恋
●兄ちゃん●
部屋へ戻ると、音楽を大音量で流しながら、ベッドへ転がり込んだ。
床が振動するほどの大きな音で、本当はアタシだって耳が破れそうだけど、こんなことでもしなきゃイライラを押さえることができない。
「おい!」
部屋の外から、微かに兄ちゃんの声がした。
…そんなの、知らない。
ケータイを充電機から外し、メールの確認。
案の定、玲から1件届いていた。
《キャンセル、ホントごめんねー。実は今日彼氏とデートなの!》
アタシはこのメールに、思わず音楽を消した。
「…嘘でしょ?」
だって、彼氏できたら抜けなくちゃないんだよ…?
そしたら…玲がなくなっちゃうってことだよね…?