BE FREE,GO SOUTH
そして詩音の変わり果てた真っ白な遺骨を、

親族や大学時代のサークルの仲間たちと一緒に嗚咽(おえつ)をこらえながら拾ったんだ。

なあ、詩音、お前は本当にこの世からいなくなってしまって、

僕達を置いてあの世に先にいってしまったんだね。

こんなに沢山、君を愛している人達を悲しませ、傷つけて。

もし僕が死んでいたら、

同じ苦しみをこんなにも沢山の大切な人たちにさせていたんだね。

30歳という節目にあわせるかのように、君は突然はるか彼方に逝ってしまった。

段々年を重ねるに従って、

いろんな友達から家族の幸せそうな集合写真が年賀状で送られるようになったけど、

僕も君も「おかえり!」のない部屋に独りぼっちだったね。

望まれて生まれてきたのに、大切な家族や沢山の友達がいたのに、

僕達は30年間ずっと、ずうっと独りぼっちだったね。

僕等の友情は一体何だったんだろう。
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