BE FREE,GO SOUTH
忘れられない夜
あれは大学のサークルの卒業コンパの日だった。

僕たちは飲んだりカラオケに行って、今日が最後と、いつもにも増してはしゃぎ、

みんなと記念の写真を撮ったりして騒いだ。

終電のなくなった僕は詩音のアパートに泊まりにいって、さらに夜中まで2人で飲み明かした。

その日のことは今でも鮮烈に覚えている。満月が冴(さ)えた夜だった。

「さあもう遅いから、電気を消して寝るか」

青白い月光が、整頓(せいとん)された部屋に散らかった氷結の空き缶を冷たく包んでいた。

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