紅き天
「あっ、魚が跳ねた。」



嬉しそうに後方を指して笑う静乃を見て、疾風は少し慰められた。







今のやり取りを、静乃は気付いていた。



静乃も伊達に殺し屋の一人娘をやっていない。



教育は厳し過ぎるほど過酷なものを受けてきた。



隠してもいない殺気に気付かぬほど鈍感ではない。



しかし、ただの親子喧嘩だと思い、深読みはしていない。










2人は互いの正体を知らない。




後に、それが幸いか不幸か。






宗治は黙って2人を見守った。




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